中央アジアから中東にわたる広大な地域が発祥の手織り絨毯です。主に遊牧の人々の暮らしの中で、豊かな装飾性を兼ね備えた生活必需品としてはじまり、発展してきました。その歴史は、3000年とも5000年とも言われています。

そもそも絨毯は、羊や山羊を傍らに暮す遊牧民が携行性にすぐれ、堅牢で、厳しい環境を過ごしやすくする物として織り始めたものといわれています。絨毯を織るのは女たちの仕事でしたが、髪に花や櫛をさす彼女たちは、生活に潤いを求め、いつしか絨毯にも彩りを加えていったのでしょう。この遊牧民の素朴な絨毯が、やがて交易や献上品などに用いられるようになると、自らのデザインに贈る相手の好む様々な様式を採り入れるようになり、デザインなども急速に発展していきました。
今から約2500年前のほぼ完全な形で残っている最古の絨毯として知られるパジリク絨毯やパシャダル古墳の絨毯の時代では、ペルシャ結びやトルコ結びなどすでに現代用いられるのと同じ技法を確立していたことが判っています。
地域や時代によって絨毯製作に衰勢の波はありますが、絨毯製作は脈々と承け継がれ、16世紀 タブリーズからイスファハンに都が遷されたサファヴィー朝にペルシャ毯絶の黄金期を迎えます。イスラムの思想や多くの民族・部族それぞれ独自の文様が融合昇華され、様々な意匠が生まれました。今に受け継ぐペルシャ絨毯のデザインやパターンが、この時代までに形作られたともいわれています。
欧米で本格的に広く使われるようになったのは200年ほど前からと思われます。屋内調度品の中でも中心的役割を担う重要な要素として捉えられています。
ペルシャ絨毯はペルシャの宮廷のみならず、諸外国の王侯貴族からの注文を受けたり、贈り物として用いたり、仕向地の好みに合ったデザインを採用・開発などがされたため、様々な文化要素が影響し合い、ここでもデザインが多様化し高度に発達しました。
本来床部分に用いる敷物として使われることが多いのですが、サイズやデザインによっては絵画と同様の美術品、装飾品として台の上の装飾布や壁に飾ってタピストリーとして使用されます。