手織ペルシャ絨毯を織り始めるには機(はた)と糸をを用意しなければなりません。 機に付いては別のところで書きますので、糸の話をしましょう。 糸は絨毯の面を構成するパイル用の色糸が必要ですが、その前に縦糸の準備が必要で、これが重要なところです。 例えば、クムシルクのザロ・チャラクと呼ばれる玄関マットサイズの場合100万ノット/㎡クラスで必要な縦糸は2500m以上にもなります。 これが300cm×200mですと10km以上の長さになります。

最初にほとんどのお客様がノット数など、織目の細かさを比較するようです。 手織りの絨緞は一目一目パイルの糸を結んでいるわけですから、 結び目が多いほどパイルが密になり、柄も細かくなります。 デジタル画像の画素数と同じで、細かいと美しい繊細なデザインを細部まで表現できます。 ノット数が多くしっかり織り詰められた絨毯は、踏んだ時の沈み具合も違います。 (大げさですが、一拍おいて体重に反応するような感じ。) また、繊細なデザインのイスファハンですが我が家の場合、4匹の猫が爪とぎしてもびくともしません。 高品質のペルシャ絨毯が100年使えると言われる所以です。
織目の細かさだけではなく、織り手の技術によっても、仕上がった絨毯の美しさに差が出ます。 ゆがみが出ないように、結び目の大きさを均一に細かに織りあげることは熟練を要する作業です。 その点で、でき上がった絨毯の目の細かさ美しさはそのじゅうたんの価値を決める判断材料の一つと言えるでしょう。
一般にペルシャ絨毯は「ノット」や「ラージ」の単位で結びの細かさを表します。 ノット:1m2に対し幾つの結び目があるかということで、ノット/平方メートル(kpsm=knots per square metre) の略です。 一般に1cm2の中の縦×横の結び目を数えて概数を出します。 例えば、1cm2に縦10目×横10目であれば10目×10目=100目、100目×100cm×100cm=100万ノット/平方メートルと表します。 ラージ:タブリーズなどは比較的ラージの単位が使われます。 これは、約7cmの間に何目並んでいるかという表現です。一般に横方向にだけ数えます。 50ラージは約7cmの中に50目ほどの細かさということです。 一般に40ラージ以下は実用向け、50ラージ以上となるとかなり良いものというイメージが定着しています。
また主要産地の一つであるナインでは、主に、「シシラ(6laa)」或は「6本」と呼ばれ比較的織りの細かいグレードの物と、 「ノーラ(9la)」或は「9本」と呼ばれる比較的織りの粗い2つのグレードの物が多く作られます。 このグレードの呼び方はナインの独特の表し方で、経糸に使う木綿の撚り糸の数を表します。 撚り糸の数が少ないほうが一本の糸として細い糸ということになり、これを経糸に使えばより密度を高めた表現が出来るという訳です。 ほとんど見ることはありませんが、「チャハラ(4la)」、「4本」と呼ばれる大変細い経糸を用いた、 実用品と言うよりは美術工芸品的な、精密な織りの絨毯もあります。 実用品としては、およそ40ラージから80ラージに相当するシシラ、ノーラが多く、生産・流通しています。
余談ですが、中国緞通は才という単位を用います。 1才=約30cmの中に何目あるかといことで90段、120段と表現します。 120段は1cmに4目、最高級のシルクでも150段ですと1cmに5目。 ペルシャ絨毯のクムシルクの高品質のものは100万ノット。1cmに10目です。 また、中国緞通は基本的に同じデザインの大量生産方式です。 ペルシャ絨毯はほとんどのものがオリジナルデザインです。 似たようなデザインであっても色を変えているなどの工夫がされているものが主流です。