イラン中央部のイスファハン州の町で、イスファハンの町から東へ約150km程に位置する、 カビール砂漠の中の小さなオアシスタウンです。 以前はイランの伝統的な衣類の産地でしたが、ヨーロッパ製品のイラン進出を機に、 カシャンや、多くはイスファハンの職人の指導を得て、 1920年ごろから本格的に絨毯産業が盛んになりました。 ハビビアン、ムフィディ、ソルタニ、ハギギ、ドラクシェス、 と言った工房を中心に主に輸出品としての高品質な絨毯生産を行っています。 イスファハンなどと並び、大産地の一つに数えられています。
デザインでは、イスファハンの影響が強く、いわゆるシャーアッバスメダリオンコーナー <shah abbasi and islimi medallion-and-corner >と呼ばれるデザインが多く見られます。 このデザインはアラベスク(唐草文様)や、花を意匠化したパルメットなど曲線を丁寧に細かく描くため、 高い織りの技術を要求されます。 同じ新興の絨毯産地であるクムとは反対に正統派好みの落ち着いた古典的なデザインを採用する事が多いです。 伝統柄を用いる中にもベージュとブルー系を基調とした抑制された配色を産地の統一した特徴として確立し、 均等な品質から洗練された絨毯というイメージが浸透しています。 落ち着いた色使いと丁寧な仕事の仕上がりは和室の使用にも相性が良く、日本でも人気のある産地の一つです。
材質には、上質なものではコルクウール<Kurk Wool>と呼ばれる仔羊の首から胸元にかけてのしなやかな良質な羊毛を用い、 きめ細くソフトな絨毯に仕上がります。 上質なものではまた、文様の縁に絹を使用し、輪郭を際立たせています。 主に、「シシラ(6laa)」或は「6本」と呼ばれ比較的織りの細かいグレードの物と、 「ノーラ(9laa)」或は「9本」と呼ばれる比較的織りの粗い2つのグレードの物が多く作られます。 このグレードはナインの絨毯のグレードを表す際によく用いられ、経糸に使う綿の撚り糸の数を表します。 少ないほうが一本の糸として細い糸を使うことになり、より密度を高めた表現が出来るという訳です。 ほとんど見ることはありませんが、「チャハラ(4laa)」、「4本」と呼ばれる大変細い縦糸を用いた、 実用品と言うよりは美術工芸品的な、精密な織りの絨毯もあります。 実用品としては、およそ40ラージから80ラージのシシラ、ノーラの生産が多いです。
後進の産地ではありますが、そのレベル高さの為に世界中で評価され需要が高まった為、イラン国内のみならず、 国外にもコピー産地が存在し、世界中でナインの名称で取り引きされる事もあるようです。 しかし、コピー産地の製品はまだレベルが低く、ペルシャ絨毯を扱う人ならば区別が付くものが多いです。
神奈川県、Yさまのお宅